平和憲法改正反対

 自民党の宮沢喜一元首相は、次のように語っていました。
「私の意見は非常に簡単なんで、わが国はどういう理由であれ、外国で武力行使をしてはならない」
「こんなにうまく運用されている憲法をどうして変えなければならないのか、理解できない」

 そこで、私も加入しています護憲団体の「自治体議員立憲ネットワーク」の姉妹団体である国会議員の「立憲フォーラム」が法律家の協力で「安倍改憲を許さないQ&A」を作成しました。この1年間6回に分けて掲載いたしますので、ご理解いただき改憲反対の輪を是非とも広めて頂きたいと思います。

Q1 憲法と立憲主義の意味を教えてください。
A1 憲法とは、国家権力を制限して、国民の自由と人権を保障する国家の基本法です。
 立憲主義とは、国家権力を制限して、国民の人権を保障するという考え方です。
近代的意味の憲法は、この立憲主義に基づくものであり、立憲主義的憲法とも呼ばれています。
 立憲主義の思想は、ロックやルソーなどの説いた自然権思想に裏付けられています。その核心は、①人間は生まれながらにして自由かつ平等であり、生来の権利(自然権)を持っている。②その自然権を保障するために、社会契約を結び、政府に権力の行使を委任する。③政府が権力を恣意的に行使して人民の権利を不当に制限する場合には、人民は政府に抵抗する権利を持つという点にあります。
 日本国憲法が、立憲主義に基づく憲法であることに異論はありません。
 立憲主義に基づく憲法の特徴をまとめると、以下の3点です。第1に、憲法は、国民の人権を保障する基礎法、憲法の中核は、人権規範であるということです。第2に、憲法は、国家権力を制限する基礎法であるということです。第3に、憲法は最高法規であるということです。

Q2 憲法と法律の違いはなんですか。
A2 法律は、選挙により選ばれた国会議員で構成される国会(「国の唯一の立法機関」憲法41条)が、民主主義の原理(多数決原理)に基づき制定する規範をいいます。法律は、国民の権利や自由を制限することができます。しかし、法律といえども、憲法に違反することはできません。つまり民主主義(多数決)によっても侵すことのできない自由と権利があることを憲法が定めているのです。
 憲法はこのように国民の人権を保障するために国家権力を縛るものだからこそ、権力を行使する側は、憲法を「邪魔なもの」「押し付けられたもの」と感じ、縛りを解きたがるのでしょう。

Q3 憲法が、改憲のハードルを高くしているのはなぜですか。
A3 憲法96条1項は、「この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票または国会の定める際行われる投票において、その過半数の賛成をひつようとする。」と憲法改正手続きを定めています。法律が、原則として衆参両議院で出席議員の過半数の賛成で成立する(憲法59条1項、同56条1項、2項)のに対し、憲法の改正はハードルが高く設定されています。それはなぜでしょう。
 憲法は、個人の自由と人権をあらゆる国家権力から不可侵のものとして保障する規範(人権規範)を中核とします。だからこそ、憲法は、国の最高法規とされ、憲法に違反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為はその効力を有しない(98条1項)とされるのです。このような憲法が、時の内閣の一存で、あるいは首相の一存で、あるいは多数派の国会議員によって都合よく簡単に変えることができるとなれば、国家権力を縛って国民の人権を保障しようとした立憲主義憲法は、無意味となってしまうからです。