平和憲法改正反対Q&A(2)

 改憲論者から護憲論者になった小林節慶応大学名誉教授も、「真に我が国の防衛を固めたいと考えるなら、専守防衛こそが賢明な政策であることは明白である。わが国の有する高度の経済力、技術力、人間力を自衛に集中し、他国間の軍事紛争に介入しないことは、最も安全で、安価で、合理的であろう。もちろん日米同盟は大切であるが、同盟であり隷属でない以上、80余の米軍基地を受け入れ、その費用を負担していることで十分ではないか」(日刊ゲンダイ2018年1月13日)としていますが、全く同感です。
 前回に続き、私も加入しています護憲団体の「自治体議員立憲ネットワーク」の姉妹団体である国会議員の「立憲フォーラム」が法律家の協力で「安倍改憲を許さないQ&A」を作成しましたので掲載します。ご理解いただき改憲反対の輪を是非とも広めて頂きたいと思います。

Q1 立憲主義からみて安倍政治は? 
A1 安倍政治は、立憲主義を破壊しています。
 安倍政権の下で、2013年に特定秘密保護法が強行採決により成立しました。これにより市民に開示されるべき重要な国家情報が「秘密」とされ、開示されなくなりました。
 2014年に閣議決定により、戦後70年間続いた専守防衛から集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更がなされ、2015年には集団的自衛権行使を認める安全保障関連法が強行採決により成立し、専守防衛の自衛隊から海外で武力行使のできる自衛隊に変わりました。
 昨年2017年には、委員会報告を省略するという異例の手続きにより参議院本会議で共謀罪法が強行採決により成立し、刑法の大原則を覆して犯罪実行行為がなくても処罰できるようになり市民の自由が危うくなっています。
 そして、憲法9条の改正まで言い出すようになり、先の衆議院選挙では自民党の公約にしています。
 憲法は、国家権力を制限して、国民・市民の自由と人権を保障し、国民主権、恒久平和主義、基本的人権の尊重という基本原理によって、個人の価値を最大限に尊重しているのです。
 ところが、安倍政権と自公与党の政治は、国家の持つ「秘密」を開示しない、軍事力を拡大し自衛隊が海外で武力行使ができるようにする、所得税法違反なども共謀しただけで罰せられるようにして市民活動を委縮させるなど、国家権力の自由を拡大し、他方、個人の自由を制限する立法を、わずか4年の間に矢継ぎ早に強行成立させています。しかも、これらの立法は前述した憲法の根幹である基本原理を侵すような大改悪です。そして、憲法9条の改正まで行おうとしています。こうした安倍政治は、憲法と立憲主義を破壊する政治です。

Q2 安保法制はなぜ違憲? 
A2 自衛隊のあらゆる軍事力を解禁した安保法制にはそれに対応するだけの憲法違反が存在します。中でも、集団的自衛権行使の解釈変更は何らかの法的な論理ですらない非科学の不正行為による暴挙です。
  安倍内閣は、「昭和47年(1972年)に作成された政府見解の中に、限定的な集団的自衛権行使を容認する憲法9条解釈の『基本的な論理』が明確に示されている」と7.1閣議決定に明記し、その後の国会において「同見解の作成者である吉国一郎内閣法制局長官らがこの論理を書き込んだ。つまり、もともと合憲だったのだ。」と主張しています。 
  しかし、この安倍内閣の唯一の合憲の主張は、同見解の作成要求がなされた際の集団的自衛権行使を違憲とする吉国長官の答弁などから、全くの虚偽であることが物証をもって完全に証明されています。そして、この「昭和47年政府見解の恣意的な読み替え」という不正行為を根拠に、2015年安保国会においては、元最高裁判事、元内閣法制局長官らによって「解釈変更は違憲」との陳述がなされています。