ぶち壊すべきは格差社会

 先の参議院選挙、敗者なき選挙だったとも言われていますが、そうした中で、山本太郎参議院議員の「れいわ新選組」と立花孝志代表の「NHKから国民を守る党」が躍進し、当選者を出し政党要件も取得しました。
 立花代表とは、氏が元船橋市議だったこともあり、何度か話したことがありますが、演説も力強くて上手い。また、NHKには、受信料が高すぎたり、職員給与が多すぎるなどの問題があることも確かです。かつて小泉純一郎元首相が総裁選で、「自民党をぶっ壊す」と叫んで当選したのに倣ったのどうか知りませんが、「NHKをぶっ壊す」と言うインパクトのある言葉と分かりやすいテーマを掲げて、当選したのもムベなるかなと思います。 

 ところで、「NHKから国民を守る党」の受信料を支払った人だけがNHKを視聴できるスクランブル放送の実現という訴えにも確かに一理はありますが、本当にぶち壊すべきもっと重大な問題が他に沢山あるのではないでしょうか。その最たるものの一つが、ひど過ぎる官民格差(1.6倍)や正社員非正規格差(2倍)などの格差社会の問題です。
 9月6日、厚生労働省は、世帯ごとの所得格差に関する2017年調査の結果を発表しました。格差を示す指標・ジニ係数は、過去最大だった14年調査からわずかに改善しましたがほぼ横ばいで、依然高水準で格差が縮まらない実態が浮き彫りになっています。そして、収入がなく老後生活を年金に頼る高齢者世帯は増加しており、今後格差が拡大に転じる可能性もあると言われています。
 世帯ごとの当初所得の平均額をみると、全体では年429万2千円、65歳以上の高齢者世帯は100万4千円とのことです。他方、国税庁も、毎年9月末に民間企業にお勤めの方々の平均所得を発表していますが、平成29年度は、432万円で、正社員に限ると約62万円多い494万円。ところが県職員の年間平均給与費は、ちば県民だよりによれば714万6千円でした。それにしても官民格差が1.6倍以上、正社員と比べても1.4倍以上というのは、余りにもひど過ぎます。恐ろしいまでの官民格差社会であると言わなければなりません。
 かつての自民党、と言っても今の自民党とは異なる主に保守本流ですが、富の再分配を心掛け一億総中流社会を実現しました。日本型社会主義と揶揄(やゆ)されるほど公平な社会を実現したのです。
ところが、近年とりわけ小泉内閣以降、新自由主義の名の下で、派遣が次々と拡大され、今や、契約社員や派遣社員など非正規は、全就業者の4割近くまでになっています。
 そして、労働者階級の中で正規労働者と非正規労働者の格差も大きくなっています。パート主婦を除く非正規労働者の比率は実に約15%、930万人に及びます。正規労働者は就業人口の約35%で平均年収は370万円あるのに,非正規は186万円と極端に低く、貧困率は逆に39%と高く、未婚率も男性がなんと66%と異常に高い。
 我が国の喫緊の課題の一つは少子高齢化、人口減少の問題です。仕事が不安定なうえに収入も少ないため、結婚もできない。結婚しても子供を産み育てることができない。少子化にますます拍車をかけています。そして労働者不足だと言って、外国人労働者を拡大している。外国人労働者の人件費が安いため、非正規労働者の賃金が低く抑えられる。悪循環になっており、政府のやっていることは逆効果と言わなければなりません。 

 いわゆる「就職氷河期」に、大企業はこぞって新卒採用を抑制しました。そのため、就職活動はうまくいかず、非正規の仕事を転々としてきた人が多いと言われます。
 県としても格差を是正し、誰もがのびのびと暮らせる公平な社会をつくるため、就職氷河期世代を正職員として採用すること、離婚や配偶者の死別などで主たる生計者になった非正規職員を正職員として採用すること等を求めてまいりたいと考えます。